脂質制限ダイエットとは?糖質制限との違いや成功のコツを徹底解説

脂質制限ダイエットとは

ダイエットはしたいけど、過去に糖質制限には失敗した。
無理なカロリー制限も続かないから、もうやりたくない…

そんな方におすすめなのが、脂質制限ダイエットです。

「脂質制限ダイエット」とは

食事から摂取する脂質の量を抑え、体脂肪を減らすダイエット方法。
脂っこい食品を控えるぶん、ご飯や麺類などの炭水化物をしっかり食べられるのが特徴で、満足感を得ながら続けやすいと注目されています。

今回は、脂質制限ダイエットの基本から成功させるためのコツや注意点、おすすめレシピまで初心者に向けてわかりやすく徹底解説します!


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目次

脂質制限ダイエットの基本を理解しよう

脂質制限ダイエットは、三大栄養素である「炭水化物、タンパク質、脂質」のうち、脂質の摂取量を減らすダイエット方法です。脂質は糖質やタンパク質の2倍以上のエネルギーを持つため、脂質摂取量を減らすことで総摂取カロリーを抑えて痩せる効果が期待できます。

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ここでは、脂質制限の仕組みや糖質制限との違い、1日の摂取目安を詳しく解説します。

脂質制限ダイエットのメカニズム

脂質制限で痩せるのは、カロリー収支が自然にマイナスになり、インスリン感受性が改善し、代謝が「脂肪を使いやすい方向」に切り替わるためです。

三大栄養素が持つ1gあたりのカロリー

脂質は1gあたり9kcalと、三大栄養素(炭水化物/タンパク質/ 脂質)の中で最もカロリーが高いです。そのため、脂質の摂取量を抑えることで総摂取カロリーが自然に抑えられると、体脂肪をエネルギー源として使いやすくなります

  • 高カロリーの脂質を減らすと、食事量が同じでも総摂取カロリーが下がる
  • 脂質を減らすとインスリン感受性が改善し、脂肪燃焼が優位になる
  • 高脂質食品を控えると、自然とたんぱく質や野菜がたくさん取るので満腹感と代謝を保てる

結果的に、食事量を減らさなくても自然と痩せやすい状態が作れるのです。

脂質を抑えることで得られる効果
  • 体脂肪・内臓脂肪の減少
  • 中性脂肪やLDLコレステロールの改善
  • 胃腸の負担軽減や肌荒れの改善(油分過多の解消)

脂質制限と糖質制限の違い

糖質制限と脂質制限の違い

脂質制限ダイエットと糖質制限ダイエットは、どちらも三大栄養素のバランスを調整する方法ですが、制限する栄養素が異なり、体質によって向き不向きがあります。

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脂質制限ダイエット糖質制限ダイエット
仕組み総摂取カロリーを減らして体脂肪を落とすインスリン分泌を抑え、脂肪蓄積を防ぎ、脂肪をエネルギー源に切り替える
制限するもの揚げ物/脂身の多い肉/加工肉/
油/バター etc
ごはん/パン/麺類/いも類/果物/砂糖
摂取中心の食品ごはんやパンなど糖質を中心に、脂質を控えめにする肉・魚・卵・チーズなど脂質やタンパク質を中心にする
メリット・主食を食べられる満足感
・和食との相性がよく実践しやすい
・運動習慣を維持しやすい
・短期間で体重が落ちやすい
・空腹感を感じにくい
・肉や魚をしっかり食べられる
デメリット・必須脂肪酸が不足しやすい
・調理の工夫が必要
・満腹感を得にくい場合がある
・主食を食べられないストレス
・長期的には栄養バランスを崩しやすい
・リバウンドしやすい
向いている人・長期的に続けられる方法を探している
・糖質代謝が得意(りんご型)
・運動習慣がある
・短期間で結果を出したい
・脂質代謝が得意
・糖質代謝が苦手(洋なし型)
・血糖値が気になる(糖尿病予備軍など)

どちらかが優れているということはなく、どちらにもメリットデメリットがあります。最も重要なのは、自分が無理なく継続できる方法を選ぶことです。

脂質摂取量の目安:1日の適量は?

脂質制限中のPFCバランス

結論、脂質ダイエットをする方は、脂質の摂取量を「1日の摂取エネルギー全体の20~25%」に制限することがコツです。

例えば、1日2000kcalが基準の場合、脂質を20%とすれば 2000×0.20=400kcal ÷9kcal/g ≒ 44gの脂質が目安となります。

1日の摂取エネルギー量は、性別や日頃の生活の中での運動量によって異なるので以下の表を参考にしてください。ダイエット中は下記維持カロリーより500~700kcal程度少なめに設定すると「摂取<消費」で痩せるカロリー設定になります。

※脂質1gあたりのカロリーは、9kcalとして計算

 推定エネルギー必要量

1日あたり)

脂質量

1日あたり)

男性18~29歳2,650kcal58g以下
30~49歳2,700kcal60g以下
50~64歳2,600kcal57g以下
65~74歳2,400kcal53g以下
女性18~29歳2,000kcal44g以下
30~49歳2,050kcal45g以下
50~64歳1,950kcal43g以下
65~74歳1,850kcal41g以下
参照元:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の身体活動レベル「ふつう」

重要なのは、脂質だけを極端に減らすのではなく、全体のカロリー設定とPFCバランスを意識することです。タンパク質をしっかり摂り、筋肉量を維持しながら脂質と糖質で調整することが、健康的な減量につながります。

脂質を摂りすぎるとどうなる?

脂質を取りすぎると以下のような影響が出ます。

  • 摂取カロリーが消費カロリーを上回り、体脂肪として蓄積される
  • 動脈硬化や心疾患のリスクを高める
  • メタボリックシンドロームのリスクを高める
  • 胃もたれや消化不良を引き起こす

脂質の過剰摂取は、エネルギーとして消費しきれず余った脂質が、肝臓で中性脂肪に変わります。それが、内臓脂肪や皮下脂肪として蓄えられてしまうのです。

また、血液中の悪玉コレステロールも増加するので、メタボリックシンドロームや動脈硬化などのリスクも高まります。

一方で、控えすぎるのも問題です。必須脂肪酸が不足し、細胞膜やホルモンの合成異常、免疫機能低下、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)欠乏などが起こる可能性があります。

適量を守りながら、質の良い脂質を摂ることを意識するのが大切です。

脂質制限ダイエットを成功させるコツ

脂質制限ダイエットを成功させるには、食材選び・調理法・記録管理などの工夫が欠かせません。ただ脂質を抑えるだけでは、長続きせず栄養バランスを崩す恐れもあります。

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ここからは、脂質制限を無理なく続けるための実践的なコツを紹介します。これらを日常に取り入れることで、グっと続けやすくなるはずです。

低脂質のタンパク質源を選ぶ

タンパク質は筋肉を維持し、代謝を保つために重要な栄養素です。選ぶ食材によって脂質量は大きく変わるので、低脂質の食材を選ぶのがポイントです。

肉類や加工肉の中でも、脂質量が多いものは避けるのが基本です。例えば、豚バラ肉、牛カルビ、ソーセージ、ベーコンなどは脂質が非常に多く、脂質制限には不向きです。

おすすめの低脂質タンパク質源

肉類(100gあたりの脂質量)魚介類(100gあたりの脂質量)その他(100gあたりの脂質量)
・鶏ムネ 皮なし(1.9g)
・鶏ささみ(1.1g)
・鶏モモ 皮なし(4.8g)
・豚ヒレ(1.7g)
・牛ヒレ(15.0g)
・牛モモ(18.7g)
・タラ(0.2g)
・カレイ(1.3g)
・エビ(0.6g)
・イカ(1.2g)
・マグロ赤身(1.4g)
・鯛(5.8g)
・絹ごし豆腐(3g)
・木綿豆腐(4~5g)
・納豆(10g)
・たまご(11.4g)

これらの食材を中心に献立を組み立てることで、タンパク質を十分に摂りながら脂質を抑えることができます。

調理方法を工夫する

食材選びだけでなく、調理方法にも注意が必要です。基本的には、以下のような油を最小限にする調理がおすすめです。

  • 蒸す
  • 茹でる
  • レンジで調理
  • オーブンで焼く

どうしてもフライパンで焼いた食事を食べたいという方には、テフロン加工のフライパンが油を使わなくても焦げずに焼けるため、大変便利ですよ。

また、1度茹でて、焼くことで、肉の油を落とす事ができるため覚えておいて損はないコツです。

ほかにも、見落としがちなのが調味料です。マヨネーズ、バター、ドレッシングなどは隠れ脂質源になりやすいため、低脂質タイプや控えめの使用を心がけましょう。

食事記録アプリを活用する

自分が1日にどれくらいの脂質を摂取しているかを把握することが重要です。

「あすけん」「MyFitnessPal」「カロミル」などの食事記録アプリを使えば、食べたものを入力するだけで自動的に脂質量やカロリー、PFCバランスが計算されるので便利です。

アプリを使うメリット
  • 自分の食事の「見える化」ができる
  • 食事の傾向に気づける
  • 目標値との差が明確になる
  • 継続のモチベーションになる

アプリを活用することで、自分の食事を視覚的に捉えられるので、モチベーション維持や軌道修正がしやすくなりますよ。

おやつは低脂質な和菓子を選ぶ

脂質を制限している時期は、おやつには洋菓子ではなく和菓子を選びましょう。なぜなら、洋菓子にはチョコレート・生クリーム・ナッツ類など脂質が多い材料を使用しているためです。

反対に和菓子は、あんこなど脂質が少ない材料を使用しているため、低脂質で甘さも満たすことができおすすめです。

おすすめの低脂質おやつ

  • 大福もち(0.5g)
  • こしあんの草もち(0.4g)
  • みたらし団子(0.4g)
  • 水ようかん(0.2g)
  • オレンジゼリー(0.1g)

ただし、和菓子は糖質が多いため、食べ過ぎには注意が必要です。1日の摂取カロリーの範囲内で、適量を楽しみましょう。

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脂質制限ダイエット中のメニュー例&レシピ

では実際にどのような食事にすれば良いのか、具体的な1日のメニュー例と簡単に作れる低脂質レシピを2つご紹介します。

どのメニューも手軽に準備できるものばかりなので、忙しい日常でも取り入れやすく、無理なく続けられるでしょう。

三食のメニュー例

1日のメニューを考える上でのポイントは、「三食きちんと」「脂質控えめ」「たんぱく・野菜を多め」「炭水化物控えめにしすぎない」ことです。

朝食 : フルーツ+高タンパクヨーグルト

朝は消化の良いものでエネルギーチャージ。ギリシャヨーグルトはタンパク質が豊富で脂質が少ないのでおすすめです。フルーツでビタミンも摂取しましょう。

朝食メニュー例
  • ギリシャヨーグルト200g
  • ベリー系フルーツ100g
  • はちみつ小さじ1

昼食 : 鶏むね肉と野菜の蒸し煮+ごはん

昼食はしっかり主食を摂り、エネルギーを補給。鶏むね肉は低脂質高タンパクの代表格で、野菜と一緒に蒸し煮にすることで満足感もアップします。

昼食メニュー例
  • 鶏むね肉150g
  • キャベツ・にんじん・ブロッコリーなど野菜多めに
  • ごはん茶碗1杯(150g程度)
  • 味付けは醤油ベースまたはトマトベース

夕食 : お刺身+具だくさん味噌汁

夕食は消化の良い魚介類中心に。マグロ赤身や白身魚は脂質が少なく、刺身なら調理の手間もかかりません。サーモンや青魚も2〜3切れ程度なら脂質は許容範囲内です。

夕食メニュー例
  • マグロ赤身、鯛、貝類のお刺身3〜4切れ(計100g)
  • 具だくさん味噌汁(豆腐・わかめ・きのこ・野菜など)
  • ごはん100g(茶碗軽く1杯)
  • 小鉢(ほうれん草のおひたしなど)

【レンジでチンするだけ!】低脂質ラタトゥイユ

油をほとんど使わず、野菜の旨味がぎゅっと凝縮された一品です。作り置きにも最適で、パンやごはんに添えたり、鶏むね肉のソースとしても活用できます。

【低脂質】揚げない揚げ出し豆腐

油で揚げずに焼くことで、脂質を大幅カットしつつ、外はカリッと中はふんわりで、揚げ出し豆腐の満足感はそのまま楽しめます。

脂質制限ダイエットの注意点

脂質制限ダイエットは正しく実践すれば効果的な方法ですが、いくつか注意すべきポイントがあります。

ここでは、安全かつ効果的に続けるために知っておくべき3つの重要な注意点を解説します。これらを理解し、適度な制限を心がけることで、健康的に理想の体型を目指しましょう。

必須脂肪酸が不足しやすい

「必須脂肪酸」であるn-3系(オメガ3)脂肪酸n-6系(オメガ6)脂肪酸は、体内で合成できないので食事から摂る必要があります。

必須脂肪酸が不足すると
  • 皮膚の乾燥、肌荒れ
  • 髪のパサつき、抜け毛
  • ホルモンバランスの乱れ(女性の場合、生理不順など)
  • 免疫力の低下
  • 集中力や記憶力の低下
  • 疲労感

脂質はエネルギー源としてだけでなく、細胞膜の構成成分、ホルモンの材料、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収を助けるなど、体にとって必須の栄養素です。脂質の減らし過ぎには注意しましょう。

良質な油を適量とる

良質な油が摂れるおすすめ食材
  • 青魚
  • アボカド
  • ナッツ
  • あまに油
  • えごま油
  • オリーブオイル(加熱調理)

脂質量を制限する分、体に良い油を取り入れることで美容と健康に良い効果があります。一方で、なるべくスナック菓子や揚げ物に含まれる植物性油脂やトランス脂肪酸は避けましょう。

また、調味料に含まれる油や調理時の油の量にも気をつける必要があります。

  • バター
  • マーガリン
  • ドレッシング(ノンオイル以外)
  • マヨネーズ
  • 調理油

外食でサラダを注文するときには、ドレッシングを別添えにしてもらうと量を調整できておすすめです。

他の食事制限と並行しない

脂質制限ダイエット中は、他の食事制限と並行しないことがポイントです。特に以下の組み合わせは危険です。

  • 糖質制限×脂質制限
  • 過度なカロリー制限×脂質制限
  • 単品ダイエット×脂質制限

脂質を抑えている分、エネルギー源となる糖質はしっかり摂取してください。
基礎代謝を下回るようなカロリー制限や〇〇だけダイエットはもちろんNG。身体が飢餓状態だと判断して痩せにくくなる上に、筋肉が分解されて逆に太りやすくなってしまいます。

ダイエットの基本は「総摂取カロリーを適切に設定し、三大栄養素をバランス良く摂る」ことです。

脂質制限に向いていない人もいる

体質や遺伝的要因、生活環境によっては、脂質制限ダイエットが向いていない人もいます。

脂質制限が向いていない可能性がある人

  • 糖質代謝が苦手な体質(食後の眠気が強い、血糖値が上がりやすいなど)
  • 妊娠中・授乳中の女性
  • 成長期の子ども
  • すでに極端に痩せている人(BMI18.5未満)

自分がどのような体質か知りたい!という方は遺伝子検査が有効です。遺伝子検査では、以下のような情報が分かります。

  • 脂質代謝タイプ:脂質を燃焼しやすいか、蓄積しやすいか
  • 糖質代謝タイプ:糖質を効率よく使えるか、脂肪になりやすいか
  • タンパク質の必要量:筋肉のつきやすさ
  • 肥満遺伝子:りんご型、洋なし型、バナナ型の判定

遺伝子検査をすることで、脂質制限と糖質制限のどちらが自分に適しているか、科学的根拠に基づいて判断できますよ。

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FAQ|関連する質問

脂質制限ダイエットは、どのくらいで効果が出る?

個人差はありますが、正しく実践すれば1ヶ月程度で体重の変化を感じ始める方が多いです。体脂肪そのものが減少し、見た目にも変化が現れるまでには、通常2~3ヶ月以上の継続が必要です。

脂質制限ダイエットのメリットは?

脂質制限ダイエットの主なメリットは以下の4つです。

  • 主食が食べられるから満足度が高い
  • 甘いものを食べられる
  • 健康的にダイエットができる
  • 筋肉量が減りづらい
脂質制限ダイエットのデメリットは?

主なデメリットは以下の4つです。

  • ホルモンバランスや肌に影響が出る可能性がある
  • 調理方法が偏る
  • 外食時の脂質量を把握するのが大変
  • 体重減少ペースはゆっくり

しかし、健康的に痩せることやリバウンドが起こりにくいという面もあるため、一概にデメリットであるとは言えません。個人差はありますが、

脂質制限と糖質制限、どちらが痩せる?

短期的には糖質制限の方が体重が落ちやすい傾向があります。体内の水分が排出されるため、最初の1〜2週間で2〜3kg程度の減少が見られることが多いです。しかし、長期的には両方のダイエット法で同程度の効果が得られることが、スタンフォード大学の研究で明らかになっています。

重要なのは「どちらが早く痩せるか」ではなく、自分が継続できそうな方法を選ぶことです。

参考文献:Christopher D. Gardner et al. “Effect of Low-Fat vs Low-Carbohydrate Diet on 12-Month Weight Loss in Overweight Adults” JAMA(米国医師会雑誌), 2018年2月

この記事の執筆者
執筆者:松本 竜季
オンラインパーソナルトレーナー 松本 竜季

CLOUD GYMトレーナー。RIZAPトレーナーとして数多くのお客様を担当し、運動や食事を通じて医療の分野でもお客様をサポート。 ダイエットの方、筋肉をつけたい方、高齢者の方、さらには糖尿病の方など幅広く「健康」に向かって指導を行う。

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